どこまでも散歩道〜志治美世子ウェブサイト



歌仙「寡黙なる石畳」の巻

[両吟]

寡黙なる石畳なり終戦日 志治美世子
  城址の杜に降る蝉しぐれ 小松 知二
  綾取りの透かした空に風を見て 美世子
  大平原に芒揺れ舞い 知二
  月照らす隣村への旧街道 美世子
  秋刀魚土産に友を訪ふ 知二
信楽の小碗に馴染む掌 美世子
  縄文弥生時空工房 知二
  凝り極み目病みの瞼痙攣す 美世子
  杖を頼りに闇を彷徨ふ 知二
  老いの身に気ぶっせいなる冬囲い 美世子
  煙たなびく炭焼きの小屋 知二
  逢ひたくてただ逢ひたくて駆け抜ける 美世子
  釈迦牟尼仏を恋ひて候 知二
  隠居して宗匠日がな参禅す 美世子
  げに所望する宇治のひととき 知二
  十帖の巻に漉きたる花の色 美世子
  水の清きに若鮎の跳ね 知二
ナオ 信長の春炉に薫る蘭奢待 知二
  鉄砲鍛冶の翁(おさ)の生首 美世子
  憎悪せるテロの連鎖に理のありや 知二
  母の涙を照らす月光 美世子
  故郷に便り書かめと赤とんぼ 知二
  酒一献に松茸を焼く 美世子
  居酒屋の亭主の飽かぬ釣自慢 知二
  未だ明けぬも寝床抜けたる 美世子
  手枕のままの鼾も恨めしく 知二
  育ち盛りの腹を隠して 美世子
  憎けれど兄のフルート音色よき 知二
  窓の外には浜の参道  美世子
ナウ 海猫の糞除け傘ににわか雨 知二
  冷し瓜にて午後の談笑 美世子
  廃校のあの教室の懐かしき 知二
  入学式の皮の匂ひよ 美世子
  花吹雪巣立ちの刻と心得て 知二
  未来占ふ佐保姫の玉 美世子

平成十七年「平成連句競泳会」で、先輩方に混ぜていただいた座ではなく、初めて私たちだけで巻いた巻が入選をいただいた、いわば記念すべき巻です。知ちゃんとの両吟で、二度目のことでした。

本来は、募吟とは賞を取りにいくものなので、そこにはいろいろとそれなりの「作法」や「方針」というものが存在する(らしい)のですが、いたってお気楽に連句を楽しんでいる私たちには、もとよりそのような手法はまったく預かり知らぬところです。

結社に所属することがないからこそ、許される自由であり、わがままなのでしょう。

長い連句のキャリアを誇る大先輩たちと巻く、緊張感や、決まりごとを教えていただく座とはまた違った、連句初心者同士の気安さがたまらない楽しさでもあるのです。


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